「シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢」(2018)
原題:Le grand bain
製作国:フランス
上映時間:121分
以下、映画「シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢」のあらすじ紹介、ネタバレあり感想になります。
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あらすじ
挑戦者を笑う、お前が負け犬だ
ベルトランはうつ病を抱え、長らく家に引きこもっていた。あるとき、娘の付き添いで行った公営プールで男子シンクロチームのメンバー募集の貼り紙を目にし、衝動的にチーム入りを決意する。しかし、チームメンバーは実生活が思い通りにいかないことを悩む中年男性だらけ。そんな悩めるおじさん集団が、ひょんなことから世界大会を目指す…?!
という、燻ぶったおじさんたちのゆる系スポ根コメディです(笑)
キャスト
- ベルトラン(主人公):マチュー・アマルリック
- ロラン(よく怒る人):ギヨーム・カネ
- マルキュス(破産寸前):ブノワ・ポールヴールド
- シモン(夢追い人):ジャン=ユーグ・アングラード
- ティエリー(独りぼっち):フィリップ・カトリーヌ
フランスの作品はあまり見ないし、自称映画好きレベルの知識しかないので、キャスト陣は全然わからず…。上記は日本語Wikiから名前を書き写してきただけになっています(笑)
しかし、ベルトラン役マチュー・アマルリックだけはどこかで見た顔だ!とずっと思いながら見てました。IMDb見たら出演作がズラリ。かなりのベテランっぽい?その中で私が見たと思われる作品は映画「007 慰めの報酬」でした。悪役だったらしいです。たしかに、薄れかかってる記憶を辿るとそんな気がしてきました。
あと、調べていたら、ロラン役ギヨーム・カネは女優マリオン・コティヤールの彼氏さん?ということを知りました。へぇ〜。知らないことってたくさんあるなぁ~。へぇ~。
感想(※ネタバレあり)
純粋に面白かった!良い映画でした。
冒頭のよくわからない哲学っぽい話には面くらいましたが、作品自体は王道展開なので難解さはないです。フランス映画って難しそうなイメージがあったんですけど、これは大丈夫でした。…偏見ですかね?
それにしても。燻ったおじさんが再起をかけて重たい腰を上げる話って…いいですよね。大好き(笑)見ていると胸が熱くなります。
ということで、似たような展開の燻りおじさんが再起をかけて空手道場を開くドラマ「コブラ会 シーズン1」も併せておすすめしておきます。たぶん「コブラ会」が好きな人はこの映画も楽しめると思うし、その逆も然りです。ぜひ。
燻ぶりの長さに比例する爽快感
話を戻すと、本作は燻ったおじさん集団がシンクロで世界を目指す話です。
…今ってシンクロじゃなくて「アーティスティック・スイミング」っていうんでしたっけ?長いカタカナ語は苦手なので、ここではシンクロと呼ぶことにします。…ダメかな?
男子シンクロというと、昔懐かしい「ウォーターボーイズ」なんかを思い出しますが、あちらと違って青春をずっと昔に通り越したおじさんたちがメインです。お腹もでっぷり。
中盤まで悩めるおじさんたちの生活をこれでもかというくらいに描写します。家庭が上手くいかなかったり、お金やメンタルに問題を抱えていたり。周りからも侮られた存在として描かれます。なので、途中「長いな…」と思うくらいには燻り続けているのです。
しかし、この長い長い燻ぶりを見せつけられたからこそ、ラストがより良く見えるんでしょうね。短気はいけません。ここは我慢のときです。
スポ根と鬼コーチ
そんな燻ぶり続けるおじさんたちは、シンクロも最初は趣味的に参加してる感じで、同好会感が漂っていました。
しかし。おじさんシンクロ同好会が、ひょんなことから世界大会を目指すと決めて…出てきたのが鬼コーチ。
時代錯誤的かもしれませんが、スポ根モノに鬼コーチは不可欠だと感じました。ほら、漫画「タッチ」も柏葉が出てきてから面白くなったじゃないですか。まあ、現実世界であんな恐ろしい人がいたら悪夢ですけどね。
ということで、鬼のしごきにおじさんたちは疲弊しながらも練習を続けて大会を目指すという。その過程で文句を言いながらチームも団結していくんですよね。
しかし、肝心のシンクロ演技はなかなか見せてくれない。だから、正直私もこのおじさんたちの実力を疑っていました。
視聴者の予想を裏切る演技
映画のつくり的にも、敢えておじさんたちに期待させないようにしてる気がするんですよね。実際に見た方がどう思われたのか非常に気になるところです。
先程も言いましたが、少なくとも私は、おじさんたちは頑張ったけど、コメディ的においしい参加賞レベルの演技になるとしか思ってませんでした。…酷いですね(笑)
ところがどっこい。いざ大会でおじさんたちの演技を見ると…めちゃくちゃいい。かなり本格的で完成度も高い。このおじさんたち、ここまで上達したの?!と、衝撃でした。
演技終了後は拍手喝采、なんと大会も優勝。ええええ?!
ま〜映画だからこういうサクセスストーリーでまとめなきゃね、なんて捻くれた考えを持っていました。
この話、実話ベースなの?!
が、どうやらこれは実際にあった話らしいです。驚きの連続です。事実は小説より奇なり。
スウェーデンの男子シンクロチームがモデルになっているらしい。全然そんな情報を知らずに見たので、こんなうまい話は映画の中だけよね、と思ってしまいました。
おじさんパワーを侮ってすみませんでした。。無意識の偏見って恐ろしいですね、反省しました。
夢を持つのに年齢も関係なければ、属性に囚われずに良いものが正しく評価されるって素晴らしいことだなと思います。
映画「シンクロ・ダンディーズ」と比べて
さて。このネタをおいしいと思う人はたくさんいたようで、本作のほかにイギリスでも同じ題材で映画が作られていたそうです。その名も「シンクロ・ダンディーズ」。
しかも、こちらも本作と似たような時期に公開されていたそうです。
原題:Swimming with Men
製作国:イギリス
上映時間:96分
こちらはドラマファンにはお馴染みの顔ぶれで、ドラマ「ダウントン・アビー」のカーソンさんや、ドラマ「SHERLOCK」のレストレード警部なども出演しています。
題材が同じだけに似た構成ではありますが、こちらは娯楽寄り。90分なので燻ぶり具合も低めで、おじさんたちが仲良くシンクロ練習しているところに焦点が当っています。
なので、作品としては「シンク・オア・スイム」のほうが一枚上手…かもしれない。こちらも英国らしいシニカルなユーモアが魅力なんですけどね。
丸は四角に、四角は丸に
最後に、冒頭でもお伝えした哲学っぽい語り出しについて考えたいと思います。
一番最初に「丸は四角に入らないし、四角は丸に入らない」というナレーションが入って、おわりに「この物語は丸は四角に入るし、四角も丸に入ることを証明した」って言っています。
…どういうこと?西洋の哲学的な話はさっぱりです。
ない頭を振り絞って考えると、なんとなく、丸の例示として若さというかまだ成熟しきっていないものを挙げていたような気がするんですよね。四角は結構型にはまってるという印象だったし。
もしかすると、ベルトランのように道を見失いかけて彷徨っていた人も方向性を見つけられるし、その一方でロランのような頑固だった人も柔軟になれる…ということなのかなぁ。
難しいです。どう解釈すべきか…。教えて、詳しい人!
おわりに
こちら2作ともAmazonとかU-NEXTの私へのおすすめ作品に出てきたんですよね。よくわかっていらっしゃる!アルゴリズムは偉大ですね。的確におすすめしてくれています。(私の場合、妙なタイトルのコメディがよくおすすめされますw)
ということで、それでは、また。
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