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ドラマ感想「BARRY/バリー」シーズン2 待望の新シーズン!人の本質に迫る力作

2021/05/22

海外ドラマ

「BARRY/バリー」シーズン2

barry

海外ドラマ「BARRY/バリー」待望の新シーズンが日本上陸!

…実は。私はあの手この手を駆使して、上陸前に1度見ています。それをあわせてもシーズン2はまだ2回しか見ていないので、考察が足りない部分もあるかもしれません。しかし、今回は鮮度優先で!今考えていることをお届けします。

シーズン1のおさらい

ヒットマンが演劇をはじめてみた

「BARRY/バリー」は、そんなちぐはぐな設定のブラックコメディ作品です。超ざっくり説明すると、孤独なヒットマンのバリーがひょんなことから地元の演劇クラスに通い始め、演劇を通じて自身の生き方を見つめ直していきます。しかし、ヒットマンの仕事をやめて普通の人生を送りたいと願っても、抜け出そうと足掻くほどズルズルと深みにはまっていく...という話でした。

詳細については当ブログでも紹介していますので、よかったら覗いてみてくださいね★

以降、シーズン1のネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。

シーズン1でのラストはとうとうジャニス・モス刑事にバリーの正体がバレてしまい…。バリーも年貢の納め時かねぇ~と思いきや、まさか保身の為にジャニスを手にかけたの?どうなの?バリー!というところで終わりました。

さて、バリーはほんとうにジャニスを…?だとしたら、これからどうするの…?!

シーズン2あらすじ

過去にしたことは変えられない、けれど、人は変われると願っている

シーズン1の終わりからしばらく経ち、ジャニスは"行方不明"になっていました。しかし、警察による捜索も長期化し、周りはみなジャニスの不幸を囁くようになります。クジノー先生だけはその事実を受け入れられず、演劇クラスへの情熱も失っていました。

そして、情熱を失ったクジノー先生が、突然演劇クラスを閉鎖すると言い出します。それに対し「先生の悲しみを演劇に活かせばいい」とバリーは反発しますが、クジノー先生は「自分の感情をクラスで話す気はない、バリーだって従軍経験を人に話したくないだろう?」と言い残して演劇クラスを後にしようとします。

すると、バリーはポツリポツリと自分の過去を話し始めるのでした。

…と、こんな経緯から、シーズン2では「自分を形づくる過去」をキーワードに話が進んでいきます。

感想(※ネタバレあり)

シーズン2も面白かったです。期待を裏切らないクオリティですね。シーズン1以上にエンタメ性、ドラマ性が増しているので、多くの人が楽しめる内容だと思います。たぶん、シーズン1にハマれなかった人も、シーズン2はハマれると思います。なので!

BARRYを見てください

1人が2人にオススメすれば、10段回の継承で1024人が視聴する計算になります。どんどんオススメしましょう。シーズン3の上陸を確実にするためにも、今のうちから母集団の形成が必要です。シーズン2上陸までに長~~~~く待たされた過去を忘れてはいけない。オタクの皆さん、一緒に頑張りましょう。

サリーを好きになるシーズン2

前置きはさておき。シーズン1ではバリー中心に話が進んでいたものの、シーズン2ではバリー周辺のキャラクターが深掘りされていましたね。

その影響もあってか、シーズン1と比べると、サリーはかなり好感度アップしたのではないでしょうか?自分の弱い部分をさらけ出し、振り返りたくない過去と向き合う姿には心動かされたはず。私はシーズン2のおかげでサリーが大好きになりました!

というのも、サリーが過去を自分の都合のいいように脚色したり、真実を語る勇気を出せなかった姿に、すごく共感したからです。だって…弱い部分を見せるのは勇気のいることだし、特に自分の恥じている部分を人に話すなんて、なかなかできませんよ。他人にジャッジされたくないし。演劇クラスの中で正直に話しただけでも、あっぱれです。

そういえば。以前Google主催のビルさんインタビューで、サリーめっちゃウザいんですけど!みたいな超ド直球コメントを投げていた人がいたことを思い出しました。いや、シーズン2見たらそうは思わんでしょ?と思って、インタビュー動画の日付を調べたらシーズン2放送終了後でした。たぶん、その人は並行世界のシーズン2を見ていたのだと思います(笑)

人は変われるのか?という問い

Can you change your nature?

ビルさんのインタビューでも度々出てきた話です。シーズン2は「人の本質は変えられるのか?」という問いがベースにあります。

「自分を形づくった過去」を題材にしながら、過去の行動によって、人は定義されてしまうの?過去に失敗をしたら、やり直すことはできないの?なりたい自分は、ほんとうの自分…?といった、難しい問題に切り込んでいきます。

で。BARRYではこの問いに対して、No.と答えているように思いました。

バリーはわかりやすいですよね。本人はフュークスに操られていただけで、ヒットマンとしての過去はあるけど自分の本質は善人である、と思っていました。人は変われる、過去を乗り越えられる。そう信じていたはずなのに、結局、最後では自分の内なる怒りに飲み込まれてしまった。

私は、サリーについても変われなかったように描かれていると感じました。自立した女性として振舞っていたけれど、実は元夫のサムに立ち向かうことができないまま、逃げてきた過去がありましたよね。今回、その過去と対峙し、自分が恥じている過去を人前で話そうとしたけれど、最後の最後で勇気を出せず、再び逃げてしまう。

バリーの場合は「怒り」、サリーの場合は「弱さ」。こんな単純ではないかもしれないけれど、それぞれが自分の変えたかった性質に流れ着いてしまったように見えました。

まあ、この問いには私もNo.と答えますね。自分の本質はよくわかりませんが、「根暗」であると仮定すると、5年後に突然明るい性格になっているとは全く思えません。…えっ?そんなことはどうでもいいって?

言いたいのは、意識して"見せる"ことはできるかもしれないけれど、根っこにある部分は変わらないということです。これまでの経験とか、思い出とか。そういうものの蓄積は、目に見えないけど、とっても大きな力を持っている気がします。

大好きなシーズン1と比べると…

でね?私がシーズン2をどう思うか、というと。シーズン1ほど夢中になれなかったというのが正直な思いです。少数派かもしれないけれど。

好みの問題だとは思うのですが、私はシーズン1の内省的な描き方にすごく共鳴していたんです。上手く伝えられないけど、客観的に自分の行動を振り返った時に、あぁ…あのときもっとこうしていれば…と、落胆したことってありませんか?私はよくあるんですけど、その身に覚えのあるチクリとした痛みがシーズン1には詰め込まれてたんですよね。

人に言い返せなかったり、頑張っても空回りしたり。人の意見に流されて、自分の望みがわからなかったり。シーズン1ではそんな気弱で不器用な人間のありのままの姿が映し出されているんですよね。だから、私はバリーに自分自身を重ね合わせて見ていました。

多くは望まない、ただ、普通の幸せが欲しい。これはシーズン1最終話終盤でのバリーの発言にも基づいています。ヒットマンであっても我々と同じ悩みを抱えるバリーの姿をずっと追ってきたからこそ、幸せになってほしいと願わずにいられなかったんです。

で、シーズン2は?というと。たしかに、過去の失敗に悩む部分は共感できる、けれど。バリーに関しては内なる怒りに焦点が当たっていて、これが彼の本質として描かれている。そこに少し違和感がありました。

シーズン1をかけて、善と悪の狭間で悩んでいた彼の本性は…深い怒り?そうなの?シーズン1での自分に思い悩む姿にリアルさと誠実性があったからこそ、私はヒットマンに共感して、応援していたのに。シーズン2では、私が共感していたバリーとは少し違う方向に進んでしまった。うまく言えないけど…さっきまで隣にいてくれた人に置いていかれるような気がして、少し寂しくなりました。

…こんなおかしな見方してる人もいないよね、とは思いつつ。自分に正直になると、シーズン2も面白い、けれど、シーズン1ほどは愛せない。というのが結論になると思います。

お気に入りエピソード

上でグダグダ言いましたが、作品として面白いことには間違いないです。その中でも特に!シーズン2の第5話は素晴らしかったですね。シリーズ屈指の出来です。映像的にも、ストーリー的にも、ビルさんのこだわりを感じられる回でもあります。

世間的にも評価の高いエピソード

というのも、本エピソード(5話)はビルさんの脚本&監督回です。インサイド・ストーリー(製作秘話)ではビルさんのソロアルバム的な作品になるね、と言われていました。

しかも!2019年エミー賞でも本エピソード(ロニー/リリー回)は脚本賞、監督賞、他、様々な賞にノミネートされており、世間的にも非常に評価されています。

惜しくも受賞は逃しましたが、ビルさんの監督・脚本家としての手腕は世間に知れ渡ったので…次こそは!主演男優&監督&脚本のトリプル受賞を狙いたいですね。全力応援!

寄り道に見えて、本質を描く

ここからは主観になりますが。本エピソードは、海外ドラマにたまにある「本筋から少し離れているように見せかけて、実は多くの示唆を与えている回」だと思っています。

思いつく限りだと、ウォーキング・デッドのヤギ回とか、ブレイキング・バッドのハエ回とか。個人的にはAmazonドラマ「Forever(2018)」の第6話とかも凄く好きですね。特にForeverのエピソードは単体で見てもグッとくるすごいやつです。しかもこのドラマはビルさんのSNL時代の同僚のフレッド・アーミセンとマヤ・ルドルフが主演で…

…っと、話が大きく逸れました。本筋に戻します。

じゃあ、このエピソードが何の示唆を与えているのか?というと。それは、フュークスとの関係性になぞらえた「2世界の狭間で揺れ動くバリーの心情」だと思うんですよね。

シーズン1では足を洗いたい、というのがバリーの願いでしたが、シーズン2では、そうは言っても、これまでの過去はなかったことにできるの…?という部分にも踏み込んでいます。

さっきから何度も言っていますが、シーズン2は自分を形づくった過去がキーワードになっています。周りに素性を隠しているバリーにとって、バリーの過去を知る人物はフュークスだけであり、そのことを演劇クラスの課題を通して再確認するわけです。

いくら消したい過去があっても、その過去は自分の一部であって、切り離すことはなかなかできません。だから、フュークスは逃れたい過去の象徴ですが、自分の拠り所でもあります。変わりたいと願っても、突然これまでの人生を白紙にすることはできないんですよね。

そんなジレンマをこの1話を通じて、映像や音を巧みに利用しながら描かれているように感じました。演出面でいうと、意識が朦朧とする中、車のカチカチという音を起点に過去と現在を繋ぐあたりとか、うまいな〜と思いましたね。さすが、映画オタク。(※ビルさんは超がつくほどの映画オタクです。)

しかも、その演出が最後ともリンクしている。こっちに来いと呼ぶフュークスに対して戸惑っているのは、現在と過去(2世界)で揺れ動くバリーの心情も表しているんですよね。うまいわ~。

リリー役の子はスタント一家?!

そして、何と言っても!今回強烈な印象を残しているのは、ロニーの娘リリーですよね。人間離れした身体能力。何かのCGなのか?と思ってしまいますが。

記憶曖昧ですが、リリー役のジェシーはご両親がスタントマンなのだそうです。それもあって、本人も物凄い運動神経なのだとか。BARRYのスタント・コーディネーターの方がご両親と知り合いだったらしく、リリー役の子をビルさんに紹介したのが出演のきっかけだった、と言っていました。

ちなみに、本国ではBARRYはメガヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」最終シーズンの後番組でした。このロニー/リリー回が放送されたとき、リリーがバリーに襲いかかるシーンと、直前に放送されていたGoTのとあるシーンが偶然にもリンクしていたそうです。(たくましく成長した彼女が決着をつける、あのシーンです!)

シーズン3はどうなる?!

シーズン3の更新は決定しています!ビルさんのインタビューだと、2020年春、これからシーズン3の撮影開始だ!というときにロックダウンになってしまったそうです。

それ以降なかなか撮影ができなかったようです。が、なんと!最近のアレック・バーグ氏のツイートで、近々撮影再開との情報がありました。楽しみですね!!

また、ビルさんのインタビューでは、このロックダウン中にシーズン4の脚本も書き上げたと言っていました。こちらについてはまだ正式に更新される話があったとは記憶していませんが、恐らく大丈夫じゃないかな?と思っています。

楽しみですね!!!

おわりに

長々と書き綴った超大作になってしまいましたが。大好きな作品だし、面白いのもわかるんだけど、私の愛したシーズン1とは違う方向に進んでしまったなぁ…という悲しさを正直にお伝えしたかったのです。

とは言え、本当に素晴らしい作品なので、色んな人におすすめしましょう。私も、あと数回は見直すつもりです。

では、また。

プロフィール

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洋画や海外ドラマが好きです。特に、コメディ作品が大好きで、よく視聴しています。また、俳優兼コメディアンのビル・ヘイダー氏のファンでもあります。

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