「お坊ちゃまはラッパー志望」(2003)
原題:Malibu’s Most Wanted
製作国:アメリカ
上映時間:86分
以下、映画「お坊っちゃまはラッパー志望」のあらすじ紹介、ネタバレあり感想になります。
あらすじ
ストリートはキツいぜ。特に俺の育ったストリート、マリブではな!
高級住宅地在住のギャングスタ(に憧れるお坊ちゃま)のBラッド(ブラッドくん)をめぐるコメディ作品です。
ブラッドはラッパーに憧れるお坊ちゃま。パパは州知事候補で選挙の真っ最中だけど、ブラッドのワルぶった行動のおかげで、支持率も下降気味。その状況に頭を抱える選挙運営チームは、ブラッドにラッパー気取りをやめさせるための案を思いつく。それは、ブラッドにホンモノのストリートを経験させて怖気づかせるという、とんでもないものだった!でも、ホンモノのストリートは危険すぎるので、役者を雇って"ニセ"のストリートを体験させるだけのはずが…。
という、お坊ちゃまのストリート体験記です(笑)
キャスト
- ブラッド:ジェイミー・ケネディ
- ニセギャング(ショーン):テイ・ディグス
- ニセギャング(PJ):アンソニー・アンダーソン
- ションドラ:レジーナ・ホール
- ギボンズ:ブレア・アンダーウッド
- ネズミ(声):スヌープ・ドッグ
個人的には「どこかで見たことあるぞ…」という顔ぶれでした。
スキンヘッドの方のニセギャング、ショーン役のテイ・ディグスは、ドラマ「Empire」でクッキー姐さんと仲良くなりかけてた人ですよね。たしか名前はアンジェロ…。あの、フられて怒ってた人です。
コーンロウの方のニセギャング、PJ役のアンソニー・アンダーソンは、2019年エミー賞コメディ男優部門でビル・ヘイダーと一緒にノミネートされてました。ちなみに、2019年のエミー賞コメディ男優部門はビルさんが受賞しています。2018年もビルさんが受賞しています。…話が逸れました。
ちょっとゲスい選挙運営委員、ギボンズ役ブレア・アンダーウッドは、ドラマ「エージェント・オブ・シールド」に出演していたらしいです。彼が出てたシーズンは多分見てる、けれどどんな役だったのかが思い出せない…。
しかし、ブラッド(a.k.a. Bラッド)のジェイミー・ケネディの作品はあまり見た記憶がなかったです。映画「マスク2」の主演もされてるみたいなんですけど...「マスク」といえばジム・キャリーの印象しかなかったですね。
そして。ブラッドに教えを授けるネズミ役として、なんとびっくり!ヒップホップ界のレジェンド、スヌープ・ドッグも声の出演をしています。スヌープの声ってめっちゃ印象に残りますよね。D. O. double G 〜 ♪
感想(※ネタバレあり)
期待してたより面白かったです!
90分弱なので、気軽に見れるという点もポイント高いですね〜。
ただ。ストーリーとしてはあらすじ以上でも以下でもなかったです。この手のコメディ作品に大どんでん返し!とか、実は感動の結末が…!みたいなものは期待してないので、この点については追及しないでおきましょう(笑)
小ネタがおかしくて笑える!
さて。ストーリーが"あまり"ないなら、重要なのは笑えるかどうか。結論から言うと、私は最初からゲラゲラ笑ってました。期待値低めだったのが大きな要因かもしれないけれど…。
この作品の魅力は、何と言っても主人公ブラッドだと思います。ブラッドはラッパーを気取って格好だけはワルぶっても、やっぱりお坊ちゃんなので品があるし、優しいんですよね(笑)そんなギャップが笑えました。
特に、自分が騙されていたと気付いたブラッドが強気に出始めたあたりからはずっと笑いっぱなしでした。どうせパパの差し金だから怖くないもんね〜と好き勝手にやり始めた頃には、ホンモノのギャングに囲まれていているという(笑)そのことに気付いてないのはブラッドだけ、凍りつく周り…。
よくある構図ですが、周りの冷たい視線の中、おかしな奴が1人で暴走してる状況はテッパンですね。徹底的に冷たく、突き放して描写されるほど笑ってしまうという…。(おかしい?)ちなみに、こういう状況を表す英語は"cringe"という単語が近い…と思います。イタいわ~見てるこっちが恥ずかしくなるんですけど~みたいな、そんな様子を表現する言葉らしいです。
話が逸れましたが、あとはやっぱり、唐突に登場するネズミが見どころですね。ここは外せません。映画「8mile」を意識したかのようなラップバトルで失敗して落ち込むブラッドを慰めつつも、ラップスキルは正しく評価する凄いネズミでした。いい声だしね。
ラストはもう少し頑張ってほしかった…
なんですけど。最初にストーリーは気にしない…とは言いましたが、言わせてください。あのラストには納得できません、不満です。というのも、ションドラとの恋愛オチだけじゃ物足りないですよね。ニセギャングの2人とか、ギボンズとか、ホンモノギャングの彼とか、最後どうなったの?せっかくなら、彼らの「その後」も見たかったです。
しかも、ストリートでの経験がパパとの関係修復にしか影響してないのも気になりました。だからラストに深みがないんですよね。せっかくなら、今回の経験を通じてストリートとの繋がりができた、とか、そういう描写があれば、映画としてもっと良くなった気がします。たとえば、ストリートの子供たちにプレステあげて一緒にゲームするとかさ。
なので、もっと今回の経験をラストに活かしてほしかったと思います。そうすればちょっとだけイイ感じのおバカコメディとして、視聴後のモヤモヤは晴れたはず。内なる私は、結局住む世界は平行線なのか!所得の差は埋まらないのか!と、おバカコメディに真剣につっこんで悲しくなりました(笑)
話を戻しますが、ラストの展開に不満はありつつも、気軽に笑えるという点ではこの手のおバカコメディ映画の役目は十分果たしていると思います。なので、私としては本作は面白かった、という評価です。
ヒップホップネタで楽しもう!
私がこの作品を見たのも、Netflixでドキュメンタリー「ヒップホップ・エボリューション」を見てヒップホップカルチャーに興味を持ったから、という経緯があります。それで、何かヒップホップ関連のコメディ作品ないかな?と探して、本作に辿り着きました(笑)
Netflix「ヒップホップ・エボリューション」はいいぞ(余談)
ちなみに、この「ヒップホップ・エボリューション」はとてもよくできたドキュメンタリーなので、おすすめです。ヒップホップの起源から、どういう背景で発展・派生していった…ということを順を追って説明してくれます。まるで教科書のよう!
ヒップホップカルチャーに全くの無知であった私を教育してくれました。
本作のヒップホップネタ
余談はさておき、ドキュメンタリーを見たおかげで本作のネタを理解できた部分があります。こういうのって嬉しくないですか?だから、ドヤ顔で紹介させてください。
それは、過去回想のバルミツバのシーン。ブラッドは首から大きな時計をぶら下げていました。これは、80年代のヒップホップ・グループ「パブリック・エネミー」のメンバー、フレイバー・フレイヴを意識しています!
なので、見た瞬間、わかる!ドキュメンタリーで見た!「パブリック・エネミー」だ!と、1人テンションMAX(笑)早速ドキュメンタリーで得た知識が役立つ場面に遭遇し、超ウキウキ気分。今もテンション高めにこの文章を書いています。
(…ん?みんな知ってる?私が無知なだけ?)
ちなみに、「パブリック・エネミー」の曲は社会問題を訴えるような内容のものが多いらしいです。実際に聞いたことはないのだけれど…。
映画への不満、ふたたび
…だから尚更、ラストを頑張って欲しかったんですよね。まだ言いますよ!スタイルだけじゃなく、文化的な面も含めてのヒップホップだとドキュメンタリーから学んだので。
この作品自体が、表面的なスタイルを盗用してるマジョリティへの批判なんだ!とするには、ストーリーが浅い気がしています。
もっとカルチャーへのリスペクトがほしかったです。2000年代だから許されていた内容のような気もしてきました。2021年の今じゃ、こういう作品は作れないかも。
おわりに
ということで、映画への不満が目立っている気がしますが、笑えることは笑えるので、暇なときにちょうど良い作品だと思います。
でも、もったいないよなぁ…とも思います。輝くポテンシャルを秘めた映画です。このもったいなさを伝えたい…。映画って結末で全部が決まると思いますか?
今回はこのへんで。では、また。
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